new 470
新型470の研究は、東京五輪直後の2021年に船体と舵の性能向上を目指して再び始まった: 50種類以上の船型が設計され、10種類のボートスピードと姿勢の組み合わせでCFDによる評価が行われた。その結果、実に印象的な船体が完成した。前のプロジェクトで開発し、金メダリストのマシュー・ベルチャー/ウィル・ライアンが使用した革新的ラダー・コンセプトもまた、今回のデザインの重要な特徴の1つである。新しい470プロジェクトチームは、辻堂レーシングをビルダーに、イノベーティブ・コンポジット・センター(ICC)がFRPと素材の研究、そしてACTがデザイナーとして組織された。まもなく艇の建造が完了し、ノースセイル・ジャパンの協力のもと、艇のセーリングテストが実施される。
第2次470プロジェクトで開発された完全に新しい船型
既存の船型と比較して軽風だけでなく中風、強風でも1~3.5%の抵抗を削減
良好なヨーバランスで、様々なモードでの操船が容易
抵抗を減らし、レスポンスとグリップを向上させた革新的なラダーデザイン
新しい高剛性・低CGハル&デッキのための積層構成
CNC機械加工された船体とラダーモールド
ICCサポートによる優れた品質管理施工法
デザイナーコメント:
船体に関してはどの風域でも既存艇に対して抵抗を小さくでき、様々なモードへの移行もスムースに対応できるバランスのいい船体ができたと思います。またラダーに関しては、艇の開発中にルールを満たす新しいラダーのアイデアが浮かびました。従来の470型ラダーのブレードはトランサムのすぐ後ろに配置されており、ブレード上の流れは複雑です。船体のトランサムから切り離されたスターンウェーブと干渉し、非常にドラッギーに見えてしまいます。もしラダーのリーディングエッジを船底よりも下に位置させることができれば、流れがスムーズになり、干渉による抵抗を減らすことができるのではと考えました。そこで、ルールを満たす新しい舵の形状を設計することに成功し、CFDによる検証でも効果的な結果が得られました。この新しいラダーのコンセプトは、東京オリンピックの金メダリストであるマシューベルチャーとウィルライアンのオーストラリアチームに採用され、また、2024年のパリオリンピックでも銀メダリストの岡田・吉岡チームで使用されました。